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3作目の「パイレーツオブカリビアン/ワールドエンド」は分かりづらい!少し解説します!

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パイレーツオブカリビアンシリーズ3作目を見ました。前作でクラーケンに飲み込まれてしまったジャック・スパロウを追って、世界の果てに向けて旅立つところで終わっていましたよね。続きが気になっていました。
一言で言うと、それぞれが持つ思惑と人間関係がこんがらがって理解が追いつかないという印象でした(笑)
それではまとめていきまーす。

目次

あらすじ

前作でクラーケンに飲み込まれ死んでしまったジャック・スパロウ。ジャックを救い出すために世界の果てに行くため、そこまでの海図を手に入れるため、シンガポールの海賊長サオ・フェンに会いに行きます。

一方で世界の海の状況は、前作でデイビィ・ジョーンズの心臓を手に入れた東インド貿易会社のべケット卿がフライング・ダッチマン海賊団を手中に入れ、世界の制海権を手に入れ、海賊への取り締まりを強化していました。そのため、東インド貿易会社の取り締まりに対抗すべく世界の9人の海賊長が集まる評議会への参集がかかります。その海賊長の一人であるジャック・スパロウたちは評議会へと向かいます。

ベケット卿率いる東インド貿易会社(+フライング・ダッチマン海賊団)VS世界の海賊たちという構図で戦いが始まります。

本作の概要

タイトルパイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
タイトル(原題)Pirates of the Caribbean: At World's End
公開日2007年5月23~25日(全世界同時)
制作会社ジェリー・ブラッカイマー・フィルムズ
配給ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
制作国アメリカ合衆国
言語英語
制作費$300,000,000
興行収入(全世界)$960,996,492
興行収入(アメリカ)$309,420,425
興行収入(日本)$91,119,039
(109億円)

前作の製作費(2億2500万ドル)からさらにお金が掛かっています。が、興行的には前作の興行収入(10億6千万ドル)を上回ることは出来ませんでした。それでも十分な成功と言える数字ですね。その他は、前作と変わっていません。

主な受賞(ノミネート含む)

◆第80回アカデミー賞(2008年)
・メイクアップ賞Ve・Neill
Martin・Samuel
ノミネート
・視覚効果賞 ジョン・ノール
ハル・ヒッケル
チャールズ・ギブソン
ジョン・フレイザー
ノミネート
◆第17回MTVムービー・アワード(2008年)
・作品賞パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンドノミネート
・女優賞キーラ・ナイトレイノミネート
・コメディ演技賞ジョニー・デップ受賞
◆第34回ピープルズ・チョイス・アワード
・好きな男性アクションスター賞ジョニー・デップノミネート
・好きな女性アクションスター賞キーラ・ナイトレイ受賞
・好きな映画賞パイレーツオブカリビアン/ワールド・エンド受賞
・好きな三作目賞パイレーツオブカリビアン/ワールド・エンド受賞
・好きな男性映画スター賞ジョニー・デップ受賞
◆ティーンチョイスアワード2006
・作品賞(アクション)パイレーツオブカリビアン/ワールド・エンド受賞
・アクション映画俳優賞ジョニー・デップ受賞
・アクション映画女優賞キーラ・ナイトレイ受賞
・悪役賞ビル・ナイ受賞
・チョイスムービー(ランブル)オーランド・ブルーム
vs. フライング・ダッチマン クルー
受賞

アカデミー賞では、製作カテゴリから2部門ノミネートされ受賞はなりませんでした。シリーズ通して映画評論家からの評価は高くない印象ですね。アカデミー賞以外のゴールデングローブ賞やPGAアワードからはノミネートもあまりされていません。

一方で、一般の映画鑑賞者が選ぶピープルズ・チョイス・アワードティーンチョイスアワードでは、前作含めかなり多くの支持を集めています。多分専門的な評論家と一般鑑賞者で評価のポイントが違うからでしょうか。私はこのシリーズは世界観が好きで、見ていて楽しい映画で良いなと思っている後者です。

監督、キャスト

監督ゴア・ヴァービンスキー
製作ジェリー・ブラッカイマー
キャストジャック・スパロウジョニー・デップ
ウィル・ターナーオーランド・ブルーム
エリザベス・スワンキーラ・ナイトレイ
ヘクター・バルボッサジェフリー・ラッシュ
サオ・フェンチョウ・ユンファ
デイヴィ・ジョーンズビル・ナイ
ジェームズ・ノリントンジャック・ダヴェンポート
ビル・ターナーステラン・スカルスガルド
カトラー・ベケットトム・ホランダー
ティア・ダルマナオミ・ハリス
ジョシャミー・ギブスケヴィン・マクナリー
ピンテルリー・アレンバーグ
ラゲッティマッケンジー・クルック

大きく主要キャストの変更はありません。

因みにシリーズはあと第4作、5作と続きですが、キーラ・ナイトレイは本作で見納めとなります。オーランド・ブルームは4作目はお休みして5作目には出ます。
他の作品をやりたくなったみたいです。

本作の思惑・人間関係を図にまとめてみました(ネタバレ有ります)。

画像クリックすると拡大します。

『パイレーツオブカリビアン/ワールド・エンド』関係図
『パイレーツオブカリビアン/ワールド・エンド』関係図

こうしてまとめると、やはりややこしいですね。

ジャック・スパロウの仲間同士でも利害関係で協力していて、腹の内では本当の自分の願望のために動いているからだと思います。

感想(ネタバレ有り)

ネタバレ有りで感想を書いていきたいと思いますね。

交錯する思惑に混乱します!

作中に裏切りがいくつも発生し、一体誰が何を思って行動していて、何が起こっているのか理解が追いつきません
しかも上映時間が3時間弱と中々長いので、疲れます(笑)

ジャック・スパロウ、ウィル・ターナー、エリザベス・スワン、バルボッサは表向きは、海賊存亡のために評議会に向かって行動を共にしていますが、それぞれの目的が異なっていて、その想いを胸の内に秘めています。
なので、ボーっと観ていると「アレ、何でコイツこんな行動を取っているんだ。」と分からなくなってしまいます。

話に付いていくのがやっとというか付いていけません(笑)

私が思うに、それぞれがこんな思惑で動いていると思います。

  • ジャック・スパロウ:デイビィ・ジョーンズを殺して永遠の命を手に入れたい
  • ウィル・ターナー:デイビィ・ジョーンズを殺して父を解放したい
  • エリザベス・スワン:父の仇を討つためにベケットを殺したい
  • バルボッサ:カリプソを解放してベケットの圧力を退けたい
  • ディア・ダルマ:人間の肉体から解放されたい、復讐したい
  • デイビィ・ジョーンズ:心臓を取り戻したい、カリプソを殺したい
  • ベケット:海賊を一掃したい

目的は似ているようで各々が自分の目的のために行動するので、バラバラしています。

そのため裏切り行為が乱立します。
この裏切りの連続により何が起こっているのかが良く分からなくなりました。
なので、ちょっと時系列に整理してみます。
因みに、上で書いた関係図にも簡単に書いています。

1.ウィルの裏切り

ウィルがサオ・フェンのシンガポールのアジトから英国軍から逃げる際に、サオ・フェンに対して「ベケットと話をつけるには僕の助けが要る」「ブラックパール号で父を救い出す」「力を貸してくれ」と言います。

映像としての描写は以上ですが、このやり取りによりウィルは海図を得ます

その後、サオ・フェンが、クラーケンが死んでいる島でだまし討ちをし、ジャック・スパロウらを捉えた際に、「彼女を放せ」「彼女は取引外だ」と言い、サオフェンは「ターナー船長に従え」と答えます。

ここで、ウィルとサオ・フェンが手を組んでいたことが分かります

うーん、わかりずらい。。

2.サオ・フェンの裏切り

そのサオ・フェンはベケット卿と繋がっており、ジャック・スパロウを差し出すことにより、ブラックパール号を貰うと約束していました。
ブラックパール号に東インド貿易会社の人間が乗り込んでき、ウィルが「この船は僕の船のものだ」と言いますが、サオ・フェンが「昔の話だ」と言い押さえつけられます。
そして、ウィルやスワンまでもが手錠を掛けられるシーンが入り、サオ・フェンが裏切ったことが分かります

因みに少し前のシーンで、マーサーが「新しいシンガポールの友人が、…」と話しており、この「シンガポールの友人」はサオ・フェンのことを指しており、サオ・フェンとベケット卿が手を組んでいることを示しています。

ウーン、わかるかぁ!

3.ベケット卿の裏切り

サオ・フェンにブラックパール号をあげると約束していましたが、ベケット卿の部下マーサーは「ダッチマン号よりも早い船を?まさか」と言い放ち、約束を反故にします。

そうです、サオ・フェンまでも裏切られてしまったのです

4.ジャック・スパロウの裏切り

上記のやり取りがある一方で、ベケット卿とジャック・スパロウが裏取引を行っているシーンがあります。ベケット卿はジャック・スパロウに対して、評議会の情報を提供してくれれば、デイビィ・ジョーンズとの100年の労働契約は無しにする取引を持ち掛け、ジャック・スパロウは応じます。

ジャック・スパロウは、評議会が行われる「難破船島」までベケット卿を案内することを約束し、海賊全てを裏切る行為に出ます

また、ウィルに対しても話を持ち掛け、デイビィ・ジョーンズも難破船島に連れてくるよう仕向けます。

これ初見で理解できる人いるのかなぁ。

デイビィ・ジョーンズとカリプソの仲に何があったの?

もう一つ話がすっと入ってこなかった理由として、デイビィ・ジョーンズとカリプソの過去が、デイビィ・ジョーンズとティア・ダルマの立ち話でしか触れられていないからだと思います。

デイビィ・ジョーンズとカリプソはかつて恋仲のような関係で、デイビィ・ジョーンズはカリプソを想いフライング・ダッチマン号の船長になりました。

ただ、カリプソは10年に1度の日にデイビィ・ジョーンズの前に現れず、デイビィ・ジョーンズは怒り、カリプソを人間の身体に封じ込める方法を9人の海賊長たちに教えます。

しかし疑問に思う点、語られていない点がいくつかあります。

  1. カリプソは海の女神なのに、人間だったデイビィ・ジョーンズがどうして恋に落ちたのか?そういうことってあるの?
  2. カリプソと一緒になるために、海で死んだ人を弔う務めを10年間デイビィ・ジョーンズは行ったというが、何故そうしないと一緒になれないのか?
  3. デイビィ・ジョーンズがフライング・ダッチマン号の船長になった経緯はどんな感じだったのか?
  4. デイビィ・ジョーンズのハート(多分心臓を指している)はカリプソのもの、と言っているがどういうこと?デイビィ・ジョーンズのハートをくれれば私のハートをあげて一緒になるってどういうこと?

多分そういう世界観なんだと思いますが説明不足かなと思いました。
このあたりが語られていないため、イマイチ感情移入が出来なかったです。

また上で書いた裏切り合いに加えて、カリプソとデイビィ・ジョーンズは2人とも裏切り合っていますよね。

5.カリプソの裏切り

デイビィ・ジョーンズが10年の務めを終えたときに、デイビィ・ジョーンズの元に現れなかった。

6.デイビィ・ジョーンズの裏切り

カリプソに裏切られたことに怒り、カリプソを人間の肉体に封じ込める方法を9人の海賊長たちに教えます。

女神カリプソのモデル「カリュプソー」

因みに、カリプソのモデルはギリシア神話に出てくる「カリュプソー」という海の女神であるとされています。多分そうですね。

このカリュプソーは、人間であるオデュッセウスを愛しましたがその恋は実ることはありませんでした。これは、オデュッセウスが故郷に残した妻子を忘れられなかったためで、カリュプソーはフラれます。
報われない境遇としては、本作のカリプソと人間だったデイビィ・ジョーンズに似ていますが、少し逆ですかね。

カリュプソーとオデュッセウスは神と人間という身分の異なる恋のため、カリュプソーはオデュッセウスに不死を与えようとします。カリュプソーは神なので死ぬことはなく、一緒になるためです。
これを踏まえると、デイビィ・ジョーンズが不死であるカリプソと一緒になるために、フライング・ダッチマン船長となり不死になったことや、一緒になるためにハート(心臓)をくれとカリプソが言っていたことについて、少し納得できました。

ギリシア神話をなぞられているとしたら、人間と神が恋をするという話は何か聞いたことがありますし納得ですね。

ヤン・ブリューゲルの1616年の絵画『オデュッセウスとカリュプソ』
出典:Wikipedia

カリュプソーは9人の海賊長からの呪縛を逃れた際に体が大きくなりました。

これはギリシア神話で「神様の本来の姿は大きいもの」と考えられていたため、神々が本来の姿に戻った際に人間に驚かれるというシーンがあります。製作陣がそれを踏まえて作ったと考えられます。

また大きくなった後に小さいカニに分裂して、海に帰って行ってしまいます。
カニは海の女神の化身や使いとされていて、ジャック・スパロウを助ける際にも大量のカニを使っています。

感想まとめ

ちょっとそんなこんなで複雑怪奇なお話になってしまった第3作のように感じました。

世界観は好きなんですけどねー。詰め込み過ぎだったんですかね。

ちょっと話についていくのがしんどかったし、長いです。

ただ次回作も楽しみにしています。早く観たい~!!

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